これらはまちがいなく詩学の領域に入る問いかけである。ここで言う詩学とは、アリストテレスの『詩学』(紀元前三三五頃)によって最初に生み出され、ホラチウスの『詩論』(紀元前十八頃)がさらに発展させた学問分野を指している。具体的には、詩とは喜ばしくかつ有用(dulce et utile)であるべきだとホラチウスは述べた。地球環境への脅威が切迫している時代において、新しい学問であるエコクリティシズムは、詩の根本的な任務(つまり「有用性」)を構想し直すという重要な課題に取り組んでいるのである。現在という歴史上の時点において、エコクリティシズムは文学分析の単なるマイナーな方法であるにはとどまらない。なぜなら自然は、文学という人間ドラマの受動的な背景や舞台であるだけではないからだ。しばしば十九世紀の英米文学は、人類と自然界の関係についての永続的な問題に取り組む姿勢を示しており、そのため環境文学批評が発展していくためのもっとも重要な領域の一つとなっている。